不思議。
最近、カーレル中将が求めてこない。
顔に似合わない位、性欲旺盛なのに。

決して不満とかじゃないけど。
むしろ、睡眠が阻害されなくて良いんだけど。
ただ、何となく妙な気分ではある。



「飽きられたか。」



ため息一つ、ベッドに横たわる。
いや、「飽きてくれたか」が適切かな。
だって、私の方は全然・・・。



「嫌な展開だな。」



気が付いたら、まるで私が彼を好きみたい。
そんな馬鹿なことあってたまるか。
あんな勝手な男は趣味じゃない。



「あんな男は趣味じゃない。」



自分に言い聞かす。
三十路過ぎの私には許されない。
雰囲気に飲まれて好きになるなんて。
だから、決して好きになるかと意地を張る。



「別に嫌いではないけれど。確かに上手く拒めないけれど。」



余計なことまで口を突く。
時々本音の端が出るから恐い。
自分で本音だと認めてしまうから恐い。

簡単に落ちないから楽しいと彼は言った。
だから、意地でも好きにならない。
私が彼を好きになったら、彼はきっと・・・。



「ん?」



矛盾に気付く。
勢い任せで思いを走らせたらうっかり。
嗚呼、どうしたんだろう、顔が熱い。
いつからこんなに馬鹿になったんだろう。
冷静沈着怜悧冷徹な私はどこに行ったんだろう。



「睡眠不足?」



自分に呆れながら寝返り。
ため息が立て続けに零れていく。
どこの少女漫画のヒロインだろうかと。

ため息に交じって欠伸。
時計を見上げると、もう二十五時。



「今日も来なかったな。」



もう昨日になった今日に呟く。
重力に逆らわず、目蓋を落とす。
明日もまた忙しいななどと思いつつ。





微かな日差し。
朝の訪れを告げる。
目を擦りつつ、目蓋を開かせる。



「・・・!?」



目が覚めるくらいの良い男。
何て、言ったら喜ぶんだろうか。
聞き流すだけで喜ばないだろうな。
とりあえず、目の前には彼の姿。
驚きが半分。
もう半分は顔に出さない。
私への関心が失われてないことへの安堵。


忙しい癖にご苦労なことだ。
面白くも無い私を面白がりにでも来たのかな。
相手をするのも癪だから寝呆けた振り。



「おやすみなさい。」



わざと淡くぼやかせて寝てる振り。
彼に背中を向けて隙を作る。

私は眠っている。
何をされたって憶えちゃいない。
だから、何かしたいなら勝手にすれば良い。
私が求めてる訳じゃない。
これは彼が勝手にすること。

私は意地っ張りだと思う。
矛盾の答えにだって気付いている。
だけど癪だから気付かない振り。
本音はどうあれ、ただ無関心な振り。



「放ってばかりで済まないね。」



彼はとても頭が良い。
全部、私のつまらない意地もお見通し。
だけれど、それを気付かぬ振り。
なかなか捕まらないなと、追い掛ける振り。



「来週には片付くから、浮気しないで待っていて欲しいな。」



そして、私の隙に付け込む振り。
全部知ってて、何も知らない振り。




たっぷり愛の込もったキスをくれる。







カーイク。
これ、実は結構古い作品。
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