彼は、僕のもの。
僕はそう信じている。
僕には、そう思うしかないのだから。
彼にとって僕は、其処まで必要性のある人間じゃない。 他の人と違って。
彼とカーレル中将は、何だかんだ言って仲が良い。 そして、ぶつぶつ言いながらも、彼は結局カーレル中将の思うまま。 カーレル中将と居るときの彼は、何だか自然。 正直言って、妬ける。
ノリス大佐は、決して彼の足を引っ張らない。 お互い大人で、でも阿吽の呼吸だったり、見ていて羨ましい。 ノリス大佐と居る時の彼は、誰と居るより寛いでいて無理がない。
僕には、無い。 僕はいつも足を引っ張る。 僕は彼を困らせてばかり。
僕には彼を引き止める手が無い。
でも、誰にも渡すことなんてしたくない。
だから、僕は・・・彼に抱かれる。
それは、或る夜の事。
締め切った部屋は、湿った熱気で満ちていた。 ベットの軋みに混じって、聞こえる喘ぎは僕の声。
自分の浅ましさに耐え切れず、耳を塞ぎたくなる。 結局、満たされない想いを身体で満たしているだけじゃないか。 声を堪えても、下半身から響く水音は止まらない。 聴覚が犯されていく。
涙で潤んで、彼の顔が見えない。 酷い孤独に苛まれる。 そうやってメソメソすれば、余計に彼の姿が視界から滲んでいくと言うのに。
「少ッ・・・将・・・・。」
僕は彼を名前で呼べない。 心の中では叫んでいても、言葉に出す勇気なんて無い。 出してしまうと、無くなってしまう気がして。 だから、やっぱり僕と彼は対等にはなれない。
でも、彼が昇進したら中将と呼ぶんだろうか。 もし、彼が軍を辞めたら、僕は何と呼ぶんだろうか。 そう思うと、彼との関係が急に寂しく思えた。
彼の動きが急に止まった。 僕の思考は、彼の視線に打ち切られて我に返る。 丁子色の綺麗な目が僕をじっと見詰めている。 少し心配そうに、そんな気がした。
「どうしたんだい?上の空だけれど。」
分かって無いなぁ、僕の頭は貴方しか無いのに。 僕が舌を出して笑うと、彼は首をかしげる。 やっぱり、分かっていない。
でも仕方ない、言わないと伝わらないことの方が多いんだから。 色んなことが言えない僕は、理解されなくて仕方ない。 代わりに僕は、言葉以外で伝えられることを頑張れば良い。
「僕が上になりますよ。」
不意に言って、僕を抱えていた彼をそっと押し倒した。 ちょっと困惑気味の彼は、変わらず僕を見詰めている。 僕が腰をくねらせると、微かその整った顔が歪んで嬉しくなる。 彼が僕を感じてくれている。
「シャルティエ・・・。」
優しく頭を撫でてくれて、その手が腰へと下りていく。 温かな手が肌をすべる感触に、僕は背筋が震えた。 彼の手に少し力が入る。
「ひゃっうぅん。」
突き上げられる衝撃が、頭まで突き抜けていく。 快感で真っ白になりそうな、頭を振って彼にしがみ付く。 結局、いつも僕は流されるだけ。
「んっあう・・くあっあっあん・・・はっ、んあっ・・・。」
締りの無い口から唾液が零れて、緩んだ涙腺からは涙が出る。 本当に・・・情け無い。
「もっ・・・やっ・・出ちゃ・・・あうっ、ひゃああんっ。」
呆気無く放ってしまい、お互いの腹を汚す。 滲んだ視界に、僕が出した大量の白いモノが映って嫌になる。
「沢山出たね。」
彼が笑う。 馬鹿にされた気分になって、何だか寂しい。 でも僕は心身ともに疲れていて何も言えないのだ。 倒れそうになると、彼の腕が僕をそっと支えた。
「まだだよ。」
その一言の後、彼はまた激しい突き上げを始めた。 余韻に浸っただるい体が、強制的な快感に泣き叫ぶ。
「もっ・・あうっ・僕・・・む・・・りぃいっ、あんっ・・・。」
時々、最後はこうなる。 彼は見た目と同じくらいに身体も若いし、僕は弱いから。 僕が失神するぐらいまで、コレは続くんだ。
身体が辛くて限界のはずなのに、すぐに僕のは白濁を撒き散らす。 そしてすぐ、嬉しいそうに立ち上がって彼の愛撫に応えるんだ。
「ひゃっ・・・そこっ・・いいっ・・・あんっ、もっと・・・。」
無理なくせに、貪欲に身体が快楽を求める。 そんな浅ましい僕を、彼はどう見ているんだろう。
彼が中に放って、その熱さにまた感じて。 重い腰を揺らして、出なくなるまで出し続ける。 いや、出なくなってもまだ。 それこそ、気絶するまで。
「大丈夫かい?」
翌日の朝、決まってその声で僕は目が覚める。 心配そうなその顔。 彼のその顔が、僕は見たいんだ。
バラバラになりそうなほど、体が痛い。 彼の所為で痛い。 そう思うと、彼への従属感があって気持ちが良い。
いっそ、彼に抱かれていて死ねば良い。 そうしたら、一生彼は僕を忘れない。 一生彼は、「シャルティエをやり殺した」と言われ続ける。
気味が良い。 誰にも渡さない。
僕は彼のもの。 だけど、いつかは・・・
彼を僕のものにするんだ。
僕だけのものに。
あとがき イクティノスは受けキャラです。(身も蓋も無い) なので、シャルティエ上位にしようかと思ったら、結局スタンダード・・・でもない。 シャルティエは性格が悪い方が良いなぁ、って感じなのですがねぇ。 「やり殺す」とか言わせちゃったし。
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