はじめに ディム攻めは、ノリス居ない設定の方が書きやすいので、 そっちの方向で参ります。 ななんと、ディムロス→カーレル設定です。 では、お楽しみくださいまし。
廊下でカーレルを見つけた。 誰かの部屋を、覗いていた。 そして・・・・
そして、見間違い出なければ。 彼の目には涙が。
彼の見ていた部屋。 其処には厳しい表札が一枚「地上軍総司令官」と。 私も中を見る。 居るべき人が、其処に居た。
その人の手には、古い写真が一葉。 そして、その写真は持ち主の涙を受け止めていた。
「・・・ミクトラン。」
司令の言葉を耳に入れぬまま私は立ち去った。 カーレルが駆けて行ったのとは、逆の方向へ。
「今日が何の日か知ってます?」
カーレルは私の部屋のカレンダーを見ながら、そう言った。 私は、彼の後ろへと歩み寄り一緒にそれを見る。
祝日休日は赤、平日は黒のカレンダーに一日だけ青い日がある。 それが今日。 十数年前に制定された、人類で最も忌まわしき日。
「天地開戦日か・・・。」
私は少し合点が行った。 昼間の司令の涙も、彼の涙も。 私は、黙って彼の肩を抱いた。 促されるように、彼も私の胸に顔を埋める。
「ごめんなさい。」
司令に何かあったとき。 決まってカーレルは、私の部屋に来る。 そして、言葉少なに私に抱かれる。 私の気も知らないで。
「ディム・・・ロス・・・。」
艶のある声で呼ばれると、何か錯覚を起こしてしまいそうになる。 そんな愚かしさが憎らしい。
自分が何かは分かっているんだ。 所詮彼にとって私は、代役に過ぎないと言うことも。 だからと言って、この代役の選び方はあまりに残酷じゃないか。
そんな思いも込めて、彼を抱きしめる。 私じゃない誰かにして欲しい行為を、私が代わって彼にする。 一糸纏わぬ姿の彼を、狂うくらいに抱く。
「カーレル・・・。」
首筋にキスをする。 決して痕はつけない、私のものでは無いのだから。 だから、ほんの触れるだけ。 私のものになる、今この瞬間だけ。
服で隠れて見えない部分も、私は決して痕をつけない。 いつか、あの人がカーレルに触れるときが来るかもしれないから。 その時に、カーレルの邪魔にはなりたくないから。
手が伸びて、私の首に腕が絡みつく。 そっと唇を寄せる。 キスをして、彼のアメジストの目を見詰める。 そこには、私が映っている。 今この瞬間だけは。
「んっ・・・良いよ。」
彼が腰を寄せる。 良いと言われるまで、決して自分では進めない。 私が私を律する、守るべきルール。 それを破ってしまえば、彼を不幸にしてしまう気がしたから。
「入れるよ。」
荒い息をついて、彼の腰に手をやる。 肌がまぶしく白い。 穢れなき肢体が、薄く汗ばんで扇情的に光っている。 全てが愛おしい。 手を触れたい。 私の手で。
でもそれは、許されるはずも無いことなんだ。
ゆっくり、彼を繋がっていく。 彼の目をずっと見詰めて。 少しでも彼の瞳に自分を映していたくて。
「あっ・・・・あうっ・・・・いい。」
彼の腰が揺れる。 それに合わせるように、突く。 初めは遠慮がちに、でもそのうちに理性を失って。 彼を独占する恍惚感に酔わされて。
「カーレル、カーレル、カーレル、カーレル・・・。」
うわ言のように繰り返す。 そして、腕に一層力を込める。 この一時だけは、私から離さない。 逃がさない。
「あうっ・・・あっ・・・・・あんっ・・ディム・・・。」
私は怖い。 いつか、私の胸の中で私でない誰かの名を、彼が口走るんじゃないかと。 そして、そのとき私が、いつも通りにしていられるか。 はっきり言って自信が無い。
そして、行為が終わって彼が帰る度。 私は恐怖に駆られるのだ。 堪えようも無い、孤独感と共に。
地上暦二十年。 その年が終わる時、彼はもういなかった。
彼が誰よりも愛していた、私が代役をやったあの人のために、死んだ。 私の前で刺し違えて。
誰と? 彼自身の恋敵とだ。 そう、天上王ミクトランと。
私は何も出来なかった。 ミクトランの剣に貫かれて、血を吐く彼を見ていただけだ。 そして、少しだけ彼は微笑んで、ミクトランと一緒に消し飛んだ。
リトラー司令は泣いていた。 そうだろう。 大事な人を二人も失って、さぞ悲しいことだろう。 でも、じゃあ私は何なんだ。
いつか来るかも知れないカーレルの幸せを願ってた私は。 その為に、自分の気持ちを押し殺してきたのは。
誰のためだったんだ。 私は、カーレルが司令の為に死ぬ為に代役やってんたんじゃない。 幸せになって欲しかったんだよ。 誰よりも、誰の為よりも。 自分の気持ち殺してでも。
カーレルに。 カーレル=ベルセリオスに。
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